導入事例

株式会社ベネック様

システムの全体的な見直しを行ない、様々な面で効率化を実現!

株式会社ベネック様
管理本部
主任
佐藤 政秋 氏

『契約』を軸にシステムを再構築

旧システムの課題を解決すべく、システムの全体的な見直しを検討する事となり、開発に着手。 業務内容の把握やコンサルティングにも十分な時間をかけ、リネンサプライ業特有の『契約』を 軸としたシステムを構築し、得意先単位の契約一括管理や売上のリアルタイムな把握、 入金・請求業務まで、様々な面で効率化を図った。

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背景

当時のシステムに対して、経営陣から「売上や利益がリアルタイムに見えない」「契約の妥当性が分からない」 といった課題が指摘されていた。これは、一般的な販売管理とは異なるモノの流れ、 業務の流れがあるリネンサプライ業界特有の事情に由来しており、システムの全体的な見直しを検討する事となった。

流れ

2004年12月、導入作業は業務コンサルティングから始まる。

「ベネックには幾つかの拠点があり、その拠点ごとに請求業務・売掛管理を行なっています。 ソルパックさんにはその拠点を回っていただきました。単純な請求業務とか売掛管理ではなくて、 各拠点の特色を把握し、かつ会社全体の効率化を踏まえたシステムの構築を考えて欲しかったからです。」

これは、リネンサプライ業界特有の事業形態を深く理解した上で、 それに合ったシステムを開発して欲しいという経営陣の考えであった。開発にあたっては、要件定義も納得がいくまで深く行った。

「旧システムの機能で何を継続して入れていくか。新しい機能はどれだけ入れるべきか。 必要な機能は入れながら複雑にならないようにするにはどうしたらいいか、 ソルパックさんにも入っていただき繰り返し協議しました。」

結果として、この作業がシステムの充実に大きく貢献した。

効果

効果1:業界特有の『契約』を軸としたシステム開発

リネンサプライ業は、一般的な販売管理とは異なり、『契約』が業務の軸となる。 今回のシステムでは、この業務スタイルに合わせて、契約を軸としたシステム(契約管理)を構築することで、 販売管理の業務効率化を可能にした。
旧システムでは、たとえ同じ得意先の契約であっても、新規契約と追加変更を別得意先・別契約とするしかなく、 一得意先としての情報を得る事が大変だった。しかし、今回のシステム導入で、得意先単位で契約を一括管理できるようになった。

「契約を最初にマスタとしてもつという考えは今までありませんでした。それまでは、 個々の取引をマスタとして管理していたので、一得意先に対して複数の契約がある場合、同じ得意先が複数存在していました。 今回、契約という概念を取り入れた事で、一得意先に取引が複数あっても一つのマスタとして管理できるようになり、 取引の順序やその取引の経緯が簡単に分かるようになりました。 この点が今回のシステムを導入した事で、大きく前進した点だと考えています。」

また、旧システムでは同期の取れていなかった販売管理部分と商品在庫管理部分のシステムを連携させ、 各製品の動きを把握できるよう再構築した。

「旧システムでは製品を納品し請求する業務システムと、商品を仕入れて在庫を管理する業務システムが別々でした。 今回のシステムでは、契約という部分で売掛と買掛の両方をつないでいこうという事になりました。 これによりその契約で売上に反映している商品情報が分かるようになりました。 例えば、シーツという名称で毎月請求していても、そのシーツがどこのメーカーでどのような仕様の物かという 情報は売上管理にはなく、各得意先の担当者の控や独自の台帳などに頼るしかありませんでした。 しかし今回のシステムでは、そのシーツがいつメーカーに注文して、いつ購入して、その時の単価がいくらだったか、 売上管理からでも状況が分かるようになり、曖昧だった商品情報が正確にいつでも確認する事ができるようになりました。」

効果2:売上をリアルタイムに把握

旧システムで課題となっていた売上のスピーディ化については、リアルタイムな売上把握を実現した。

「今までは契約の多種多様さや計算の複雑さから、売上を月の途中で確認しようとしても集計に3時間以上の作業が必要でした。 しかし、今はその日の終りにデータを自動で集計してくれるので、売上速報をいつでもすぐに出せるようになりました。 これにより、売上が思うように上がっていかない時、経費を抑えて利益を確保するとか、リアルタイムに判断できるようになり、 営業に発破もかけられるようになりました」

また、業務委託先との収支の照会も容易になった。

「例えば、自社の拠点でカバーしきれない地域の得意先の場合、リネンサプライ業務を請け負ってくれるクリーニング店を 探すのですが、そのクリーニング店に対してどのくらいの業務委託料を払うか、コストオーバーしていないかを、 システムの中で把握できるようになりました」

効果3:入金管理業務の強化

旧システムでは、入金管理業務にもかなりの労力がかかっていた。

「特に振込の部分なのですが、今までは自社の口座に振り込まれた旨を銀行からFAXしてもらうか、 銀行まで記帳し、入金が確認できた時点でシステムに入力していました。 月末になると200件もの法人から入ってきて、それを1件1件チェックして、 なおかつ手で入力を行っていたので、時間もかかり間違いもありました」

しかし、今回のシステムでは、振込データの自動取り込み機能を備え、業務効率を大幅に向上させた。

「旧システムでは手作業の部分が多かったのですが、今回のシステムではデータをシステムに取り込み、 マスタに登録してある口座番号と口座名義が一致した段階でyesかnoの判断をするだけで作業が済むようになりました。 日付や金額を手入力しなくても良いので間違えはなくなり、突き合わせだけで良くなったので、 作業時間もかなり軽減しました。旧システムの頃にあった月末の残業は大幅に減りましたね」

効果4:顧客からの細かなニーズにも応えられる請求管理

請求書に対する顧客の多様なニーズにも対応できるようになった。

「顧客からの要望で、別契約の請求書を一緒にしてくれないかと言われた時にまとめられるし、 逆に切り分けることもできるようになりました。また、事業所によって得意とするアイテムが違うので複数の事業所を跨いで 契約することも良くあります。それも契約の登録は各事業所単位で、請求書は1つにすることができるので、 事業所別の売上も把握し易くなりました」

効果5:社内の意識改革に貢献

今回のシステム導入によって、社内全体のシステムに対する意識の向上、また関連部署との連携意識の向上のきっかけとなった。

例えば、契約マスタの照会時。

「旧システムより入力項目がわかり易くなり、得意先の情報が契約・アイテムと一連の流れで閲覧する事ができるので、 パソコンに拒否反応を示していた人でもシステムに触れる機会が増え、社内全体のシステムに対する認知度が上がってきました。」

例えば、データ入力時。

「旧システムでもログイン時に社員コードは打っていたのですが実際は使用していませんでした。 今回のシステムは、全てのデータで登録者や変更者の履歴が残るようになりました。 すると、例えば自分の担当じゃない得意先に対して入力した場合でも、その人をピンポイントに指摘できるので、 入力する人も意識が上がりました」

例えば、未回収品の管理。

「得意先が突然閉店してしまっても、いつ何枚用意したかという履歴が残っているので、回収した物も入力しておけば、 未回収品数が明確になりました」

これにより、それまで新規顧客の発掘のみに目が向きがちだった営業が、『資産としての製品の回収』という 視点を持ちやすくなった。

今回のシステム導入で、それまで一部門でしか閲覧できなかった情報が、営業・管理レベルでも閲覧できるようになり、 社内全体の意識改革の礎となった。

決め手

「こちらからの要望に対して、単純にやるのではなくて、要望に対するデメリットまで含めてコンサルティングして くれたのが非常に好印象でした。あとは、事業所を回って業務を理解しようとしてくれて、その上でこちらの要望に 応えようとしてくれている姿勢です」

苦労した点

導入にあたって、苦労した事もあったと言う。

「ある程度、旧システムの入力方法を引き継いではいたのですが、入力必須の部分が増えたり、 今までシステムに絡んでいなかった営業部との連携も増えたりと入力担当者からの拒否反応はありました。 システムに慣れるために操作マニュアルもつくり、導入直前にはSEの方に来てもらい、 各拠点の担当者を集めて説明会してもらったりして、導入に至りましたね」

今後の展開

今回導入した契約管理システムと商品管理システムは第1次フェーズにあたる。 これらのシステムに対して、今後やるべきことも見えてきた。

「売掛と買掛のシステムは統合したのですが、リネンの購入部分だけで、まだコストまでは見切れていません。 コストは工場にもかかりますし人件費もありますから…なかなか」

また、次のフェーズでは、より踏み込んだテーマも検討している。 「第2次フェーズでは、契約履歴の照会まで考えていきたいです。あとは、アイテムごとの原価と利益を算出してみたいですね。」

原価管理が最大のテーマとなる。

お客様情報

会社名 株式会社べネック様
設立 昭和36年11月
資本金 5,000万円
従業員数 550名(全体)
年商 42億円
業種 リネンサプライ / クリーニング / 繊維製品の販売 / 介護用品のリース&レンタル
会社概要 ベネックは、北海道に1ヶ所、東日本に7ヶ所、西日本に1ヶ所の拠点を中心に、 全国約100ヶ所の業務提携先と連携をはかり、サービスの充実に努めている。