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3.14 為替評価差異

外貨取引はすべて、転記日付の外貨為替レートに従って国内通貨やシステム通貨でも管理されます。しかし為替レートは日々変動するため、転記日付のレートと現在のレートが違う場合、国内通貨、システム通貨と外貨の残高が現在のレートで換算すると一致しない場合があります。

SAP Business Oneではこの差額(為替評価差異、システム通貨換算差異)を自動的に計算して仕訳をおこし、特定の日付のレートに合わせて国内通貨、システム通貨の残高を修正することができます。

なお、本書では国内通貨は日本円(JPY)、システム通貨はユーロ(EUR)に設定されています(2.2 (2)参照)。

(1) 外貨での仕訳伝票入力-トランザクション-

外貨での仕訳伝票入力方法は既に述べましたが(3.11参照)、ここでは再度、通貨を米ドル(USD)で入力するケースを例に説明します。伝票入力の際、米ドルと国内通貨のレートが定義されていない場合は、『為替レートおよびインデックス』画面(3.2参照)が自動的に表示されます。

『仕訳伝票』画面を開くには、メインメニューの「財務会計→仕訳伝票」をクリックします。

勘定残高は様々なレポートで確認することができますが、最も簡単なのは『勘定コード表』画面から参照する方法です。『勘定コード表』画面を開くには、メインメニューの「財務会計→勘定コード表」をクリックします。

(2) 為替評価差異-トランザクション-

先ほど入力した仕訳伝票のレートは1USD = 100JPYですので、勘定残高(111312:銀行2-普通預金(米ドル))の日本円(国内通貨)換算金額は、計上金額(USD)×為替レート(100JPY/USD)となります。しかし、為替レートは日々変動しています。B/Sなどの財務諸表を出力する日に、為替レートが仮に1USD = 110JPYの場合、先に計上された金額は日本円に換算すると計上金額(USD)×為替レート(110JPY/USD)となり、結果として(計上金額(USD)×為替レート(110JPY/USD))-(計上金額(USD)×為替レート(100JPY/USD))の差額が発生することになります。

また、日本円(国内通貨)換算金額で差額が発生すると、同時にシステム通貨でも差額が発生します。B/Sなどの財務諸表を出力する日に、為替レートが仮に1EUR = 125JPYの場合、システム通貨での差額は、(国内通貨での差額(JPY) ) / 為替レート(125JPY/EUR)となります。

『為替評価差異』では、この差額を自動計算し財務会計に反映させることができます。『為替評価差異』画面を開くには、メインメニューの「財務会計→為替評価差異」をクリックします。

(3) システム通貨換算差異-トランザクション–

SAP Business Oneでは、勘定残高は国内通貨のほかにシステム通貨(2.2 (2)参照)でも管理されます。為替レートの変動はシステム通貨の残高にも影響を及ぼします。システム通貨残高は、伝票入力時の国内通貨残高から為替レートにより算出されます。

本書では、システム通貨はユーロ(EUR)に設定されています。

先ほど入力した仕訳伝票のレートは1USD = 100JPY、1EUR = 140JPYであり、勘定残高(111316:銀行2-普通預金(米ドル))の日本円換算金額は、計上金額(USD)×為替レート(100JPY/USD)となり、ユーロ換算金額は日本円換算金額(JPY)÷為替レート(140JPY/EUR)となります。

しかし、B/Sなどの財務諸表を出力する日に、為替レートが仮に1EUR = 125JPYの場合、ユーロ換算金額は計上時日本円換算金額(JPY)÷為替レート(125JPY/EUR)となります。

結果として、(計上時日本円換算金額(JPY)÷為替レート(125JPY/EUR))-(計上金額(USD)×為替レート(100JPY/USD)÷為替レート(140JPY/EUR))の差額が発生することになります。

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