SAP Business Oneの前受金処理は、売掛前受金依頼もしくは売掛前受金請求書(10.10参照)によって実現されます。ここでは売掛前受金依頼の入力を行います。
(1) 伝票入力の前提知識
売掛前受金依頼伝票は、販売見積、受注、出荷/納入などの販売伝票を参照して入力することができます。売掛前受金依頼伝票を使用する場合、通常は販売見積~受注~出荷/納入~売掛前受金依頼~入金(前受金計上)~売掛請求書~入金の順で伝票を入力します。
出荷/納入~売掛前受金依頼~入金(前受金計上)~売掛請求書~入金の順で伝票入力を行うと、以下のような会計仕訳がおこります。売掛前受金依頼伝票を入力したときには、会計仕訳はおこらず、売掛前受金依頼に対する入金を行ったときに未収前受/前払金勘定(=前受金)が計上されます。
また、売掛請求書の入力を行う際に、債権を売掛前受金依頼に対する入金で計上した前受金で相殺します。
(2) 売掛前受金依頼伝票入力のための前提条件 - マスタ - - 設定 -
売掛前受金依頼を入力するためには、得意先に対して「未収前受/前払金勘定」項目に勘定科目コードを選択しておく必要があります。得意先に対する勘定科目コードの入力は、『取引先マスタ』画面/『会計』タブ(4.4 (6)参照)の「統制勘定」項目で行います。このとき「未収前受/前払金勘定」項目に入力する勘定科目コードは『勘定科目コード表』画面(2.9参照)で「統制勘定」項目を選択しておく必要があります。
『取引先マスタ』画面を開くには、メインメニューの「取引先→取引先マスタ」をクリックします。
(3) 売掛前受金依頼伝票入力及び入金 - トランザクション -
売掛前受金依頼伝票を直接入力することもできますが、ここではまず出荷/納入伝票(6.4参照)を入力し、入力した出荷/納入伝票を参照して売掛前受金依頼伝票を入力する例で説明します。
『出荷/納入』画面を開くには、メインメニューの「販売管理→出荷/納入」をクリックします。
『売掛前受金依頼』画面を開くには、メインメニューの「販売管理→売掛前受金依頼」をクリックします。『売掛前受金依頼』画面の「得意先」項目にカーソルを置き、Tabキーを押して、既に定義済みの取引先マスタ(4.4参照)から得意先を選択します。
「転記日付」、「期日」、「伝票日付」にはシステム日付が初期値として入力されます。また、「番号」項目で伝票シリーズを選択します。伝票シリーズは『伝票採番号-定義』で事前に定義します(2.11参照)。
得意先を選択した後、「コピー元→出荷/納入」ボタンをクリックして、一覧から先程入力した出荷/納入データを選択します。
売掛前受金依頼伝票を追加しても自動仕訳や在庫ステータスの変動はおこりません。
売掛前受金依頼伝票を追加すると『入金』画面(9.1参照)の一覧に入金対象データとして表示されます。『入金』画面から対象データを選択し、『支払方法』画面を開き入金方法を選択して入金処理を行います。
『入金』画面を開くには、メインメニューの「入出金→入金→入金」をクリックします。『支払方法』画面を開くには、メニューバーの「ジャンプ→支払方法」を選択するか、ツールバーの をクリックします。
売掛前受金依頼に対する入金を行うと会計上の取引が発生しますので、自動仕訳がおこります。売掛前受金依頼に対する入金を行うと以下の仕訳がおこります。
未収前受/前払金勘定については、『取引先マスタ』画面/『会計』タブ/『一般』タブの「未収前受/前払金」項目に設定されている勘定科目コードが、前受/前払税相殺勘定については『G/L勘定設定』画面/『販売』タブ/『税』タブの「前受/前払税相殺勘定」項目に設定されている勘定科目コードが使用されます。
(4) 売掛請求書伝票入力及び入金 - トランザクション -
続いて売掛請求書(6.5参照)を入力します。入力する際、売掛前受金依頼を入力したときに参照したものと同じ出荷/納入伝票を参照します。
『売掛請求書』画面を開くには、メインメニューの「販売管理→売掛請求書」をクリックします。
ここで先に追加済みの売掛前受金依頼に対する入金データを参照します。売掛前受金依頼に対する入金データを参照するためには、『売掛請求書』画面の「合計前受/前払金」項目の左側のボタンをクリックし、一覧から該当データを選択します。