SAP Business Oneでは通常の価格表 (5.4参照)以外に、期間別/数量別価格表、割引グループ、取引先別特別価格表を定義することができます。これらの価格表を使用することによって、キャンペーン期間中や数量による割引を行ったり、ある得意先に対してのみ通常の価格表とは違う価格表を用意することができます。
これらの設定により、販売伝票や購買伝票でアイテムを選択した場合に「割引後価格」項目に自動入力される金額が変わってきます。各価格表の優先順位は以下の通りです。ただし、価格表に定義されている価格は単にアイテム選択時の初期値なので、伝票上で「割引後価格」を変更した場合は、そちらが最優先されます。
(1) 価格表 - マスタ -
価格表の設定については、既に販売管理/購買管理事前定義編で述べましたが(5章参照)、ここでもう一度簡単におさらいしておきます。
『価格表』画面を開くには、メインメニューの 「在庫→価格表→価格表」 をクリックします。『価格表』画面に表示された一覧の左端列をダブルクリックして、各価格表にアイテムの金額を入力します。定義した価格表は『取引先マスタ』画面/『支払条件』タブ(4章参照)で取引先ごとに設定します。この時、一つの価格表を複数の取引先に設定することができます。販売伝票または購買伝票を開き、取引先とアイテムを選択すると、取引先に設定されている価格表の価格が伝票の 「単価」 項目の初期値となります。
(2) 期間別/数量別価格表(期間基準) - マスタ -
『期間別/数量別価格表定義』画面では、既に定義済みの価格表に対して開始期間と終了期間、及び割引率を設定します。伝票を入力する時に、期間割引が定義された価格表を設定された取引先を選択し、さらにアイテムを選択すると、「割引後価格」に自動的に割引率が適用された金額が入力されます。『期間別/数量別価格表定義』画面を開くには、メインメニューの「在庫→価格表→期間別/数量別価格表定義」をクリックします。
(3)期間別/数量別価格表(数量基準) - マスタ -
数量基準による割引についても、期間基準と同様に『期間別/数量別価格表定義』画面から設定します。既に定義済みの価格表に対して数量と割引率を設定します。伝票を入力する時に、数量割引が定義された価格表を設定された取引先を選択し、さらにアイテムを選択すると、「割引後価格」に自動的に割引率が適用された金額が入力されます。『期間別/数量別価格表定義』画面を開くには、メインメニューの「在庫→価格表→期間別/数量別価格表定義」をクリックします。
(3) 割引グループ - マスタ -
割引グループは、ある特定の取引先に対して定義します。割引率を設定する単位は、アイテムグループ(5.2参照)、プロパティ(5.3 (6)参照)、メーカー(5.3 (1)参照)から選択することができます。割引グループが設定された取引先に対して伝票を入力する際、伝票上でアイテムを選択すると「割引後価格」に自動的に割引率が適用された金額が入力されます。割引グループは『割引グループ』画面から定義します。『割引グループ』画面を開くには、メインメニューの「在庫→価格表→特別価格表→割引グループ」をクリックします。
(5) 取引先別特別価格表(期間基準) - マスタ -
取引先別特別価格表は、期間別/数量別価格表と同様に開始期間と終了期間、及び割引率を設定します。ただし期間別/数量別価格表と違い、こちらはある特定の取引先に対して定義し、優先度もこれまでに紹介した価格表に比べると高くなっています。伝票を入力する時に、取引先別特別価格表による期間割引が定義された取引先を選択し、さらにアイテムを選択すると「割引後価格」に自動的に割引率が適用された金額が入力されます。『取引先別特別価格表』画面を開くには、メインメニューの「在庫→価格表→特別価格表→取引先別特別価格表」をクリックします。
(6) 取引先別特別価格表(数量基準) - マスタ -
取引先別特別価格表の数量基準による割引についても、期間基準と同様に『取引先別特別価格表』画面から設定します。伝票を入力するときに、取引先別特別価格表による数量割引が定義された取引先を選択し、さらにアイテムを選択すると「割引後価格」に自動的に割引率が適用された金額が入力されます。取引先別特別価格表の期間基準割引よりも優先度は高くなっています。『取引先別特別価格表』画面を開くには、メインメニューの「在庫→価格表→特別価格表→取引先別特別価格表」をクリックします。
これまでに述べた価格表は、全て純額価格表(税抜価格表)です。SAP Business Oneでは、純額価格表の他に消費税額を含んだ総額価格表(税込価格表)を定義することができます。総額価格表の定義は、通常の価格表(5.4および(1)参照)と同様に『価格表』画面から行いますが、各価格表を表示しアイテムの単価を入力する際に「総額」項目を選択することにより、各アイテムに対して入力した単価は消費税を含んだ単価となります。
『価格表』画面を開くには、メインメニューの「在庫→価格表→価格表」をクリックします。
通常の価格表(純額価格表)を使用した場合、伝票上の「単価」項目に定義された各アイテムの税抜価格が表示され、「単価」と税率から計算された値が「総額」項目や「税額」項目に自動入力されます。総額価格表を使用した場合、「総額」項目に定義された税込価格が表示され、「総額」と税率から計算された値が「単価」項目や「税額」項目に自動入力されます。
ここでは、総額価格表を使用した売掛請求書(6.5参照)の入力を例に説明します。『価格表』画面を開くには、メインメニューの「在庫→価格表→価格表」をクリックします。
また、「総額」項目や「税額」項目は初期状態では表示されていませんので、必要に応じて書式設定(3.4 (2)参照)により表示させます。