ALMの中核を担うEAMとは?主要製品の比較と選び方

ALMの中核を担うEAMとは?主要製品の比較と選び方

ALM2025.12.23

ALMの中核を担うEAMとは?主要製品の比較と選び方

はじめに

最新の調査によると、グローバルで導入が進むEAM(設備資産管理)は、製造業やインフラ分野を中心にその市場規模が年々拡大し続けています。
なぜ今、資産管理の枠を超えた「ALM(設備資産ライフサイクル管理)」が企業の競争力を左右するキーファクターとして注目されているのでしょうか。

デジタル技術が進化する一方、現場では多様化・高度化する設備管理や法規制、サステナビリティ対応など、複雑な課題を抱える企業が増えています。
本記事では、ALMの中核を担うEAMの役割と主要製品の特徴、選定ポイントまで網羅し、貴社の課題解決につながる実践的なヒントを解説します。

ALMの中核を担うEAMとは?

企業が扱う設備資産が膨大かつ複雑になるなか、EAMは企業価値向上の中核となる管理領域です。
EAMは、ALM(設備資産ライフサイクル管理)の中で、設備資産の運用・保守を担う主要機能として位置づけられています。
従来の保守中心の管理とは異なり、EAMはIT資産、設備、施設、インフラなど多様な資産を対象に、導入から廃棄までを一元的に最適化します。
これにより、設備資産の可視化やコスト削減、リスク管理、コンプライアンス対応、サステナビリティ推進など、多面的な効果をもたらします。

EAMが扱う主な機能

設備資産管理の現場でよく直面するのが、「設備の状態は?」「部品はどこ?」といった情報探しの手間です。
EAMは、こうした煩雑さを解消する多彩な機能を持ち合わせています。

  • 設備資産台帳/状態管理:設備や機器の所在、稼働情報を一元化し、IoTセンサーによるリアルタイム監視を実現
  • 保守/予防保全管理:点検/保修スケジュールの自動化、作業履歴管理、異常兆候の分析による予防保全を統合
  • ワークオーダー/作業管理:作業指示の発行、進捗管理、記録を一連の流れでデジタル化
  • 会計/コスト管理:減価償却などの会計情報を資産ごとに把握し、維持コストを可視化

これらを活用することで、担当者の異動や業務の引き継ぎ時にも情報の断絶を防ぎ、組織全体の資産価値とコスト最適化を実現します。

EAMが提供する価値

突発的な設備停止や予期せぬ保守費用に頭を抱えた経験はありませんか?
EAMはこうしたリスクを最小限に抑え、以下のメリットがあります。

  • 設備資産情報と保守履歴をリアルタイムで一元管理でき、故障の予防や稼働率の向上が叶う
  • IoTやデジタル連携により、運用コストやエネルギー消費、廃棄過程まで可視化
  • サステナビリティとDXの推進を後押し
  • 経営層の迅速な意思決定、現場の作業効率向上、長期的な資産戦略の実現

これにより、企業は単なる効率化だけでなく、競争力強化や企業価値向上にもつなげることが可能です。
EAMはALMにおいて、設備資産ライフサイクル全体を最適化する重要な役割を担っています。

主要EAMソリューションの一覧と特徴

設備資産を最大限に有効活用したい企業にとって、EAM(エンタープライズ・アセット・マネジメント)ソリューションは不可欠です。ここでは現在注目されている主要EAMソリューションの特徴を紹介します。

IBM Maximo

IBM Maximoは、企業資産を統合的に管理できる総合EAMソリューションです。
設備や機器の状態、保守計画、作業履歴などを体系的に一元管理し、資産ライフサイクル全体を可視化します。
高度なAI・IoT連携により予兆保全にも対応し、大規模な製造・インフラ・公共領域で豊富な導入実績があります。
拠点横断の情報共有を促進し、運用効率や保全品質の向上を支援します。

IBM MaximoSaaS

MaximoSaaSは、Maximoの豊富な機能をクラウド環境で手軽に利用できるEAMサービスです。インフラ構築や運用負荷を抑えながら、設備資産管理・保守計画・ワークフロー管理をスピーディに導入可能です。拡張性や連携性能はそのままに、スモールスタートから段階的な導入ができる点が特長で、多拠点や中規模組織でも利用しやすい柔軟性を備えています。

IFS

IFSCloudのEAMは、設備資産管理とサービス管理、ERP領域が密接に統合されたプラットフォームです。設備保全だけでなく、フィールドサービスやプロジェクト管理まで横断的に扱えるため、資産の運用とビジネスプロセスを一体で最適化できます。柔軟なモジュール構成により業種特性に合わせて導入でき、リアルタイム分析や自動スケジューリングによって保全効率と設備資産価値向上に貢献します。

HEXAGON

HxGNEAMは、高度な可視化と分析機能を備えたクラウド型EAMソリューションです。設備台帳や保守計画に加え、GISやBIMとの連携により設備資産の位置情報や構造情報を精緻に管理できる点が特長です。製造、交通、公共インフラなど幅広い領域で活用され、リスク低減や設備資産寿命の延命、在庫最適化を支援します。柔軟な拡張性を備え、戦略的な資産運用を可能にします。

導入時に重視すべき比較ポイント

EAM導入を成功させるためには、自社の運用スタイルや成長計画に合ったソリューションを選ぶことが重要です。
そのためには、製品の機能だけでなく、自社にとって本当に必要な観点から比較することが欠かせません。
EAM製品を選定する際は、以下のポイントを押さえて検討することが効果的です。

  • 拡張性/柔軟性:自社の設備規模や運用の複雑さに対応できるか
  • 他システムとの連携性:ERP、SCADA、IoT、BIなどと連携しやすいか
  • 現場での使いやすさ:UI、モバイル対応、作業負荷の低さ
  • AI / IoT など高度化技術:予兆保全やリアルタイム分析の可否
  • 導入コスト・導入スピード:初期費用・運用費の透明性、導入しやすさ
  • サポートや運用面の安心感:導入支援、アップデート方針、保守体制
  • 自社との相性(適性):業種・規模・運用スタイルへのフィット感

これらのポイントを押さえることで、自社に最適なEAM製品を選定しやすくなります。
要点を明確に把握し、失敗しない導入につなげましょう。

主要EAM製品の機能比較表

観点 Maximo Maximo SaaS IFS HEXAGON
拡張性・柔軟性
高度に拡張可

クラウド制限有

柔軟に拡張可

標準中心で制約
他システムとの連携
API連携充実

SaaSでも連携良好

標準連携中心

標準連携可
使いやすさ
学習必要UI

直感的操作可能

ユーザーフレンドリー

優れた可視化機能
AI・IoT・予兆保全
AI・IoT活用可

SaaSでもIoT活用可

AI機能限定

IoT整備済
導入コスト・スピード
高コスト導入長期

低コスト導入短期

高コスト導入長期

標準導入
サポート
グローバル手厚い

SaaS向け迅速支援

一部地域限定

標準サポート

EAM導入のステップと成功のポイント

EAM導入のステップ

EAMを効果的に導入するには、段階を追って計画的に進めることが重要です。
導入準備から運用定着まで、順序立てて進めることで効果を最大化できます。主なステップは以下の通りです。

  • 現状整理:設備台帳や保守プロセスを可視化し、課題を把握する
  • 要件定義:必要な機能や運用体制、他システムとの連携範囲を明確にする
  • ソリューション選定:比較ポイントを踏まえ、自社に最適なEAMを選ぶ
  • 導入設計・構築:データ移行、ワークフロー設定、インターフェース構築を行う
  • 運用開始・定着:現場教育を実施し、運用フローを定着させる
  • 改善・最適化:運用状況を分析し、プロセス改善や機能拡張を行う

これらのステップを順序立てて進めることで、導入後もスムーズに運用し、効果を最大化できます。

成功のポイント

EAM導入を成功させるには、単なるシステム導入にとどまらず、経営層と現場が一体となった運用体制の構築や、業務・データの品質確保が不可欠です。
特に押さえておきたいポイントは以下の通りです。

  • 明確な導入目的の共有:保全品質向上やコスト削減など、狙いを全社で共有する
  • 経営層と現場の連携:意思決定と現場運用で協力体制を整える
  • 業務の棚卸し・標準化:課題を可視化し、ベストプラクティスを運用に反映する
  • 現場巻き込み:初期段階から現場の声を取り入れ、運用定着を促す
  • 資産データの品質管理:台帳整備や保守記録の標準化を徹底する
  • 担当者研修・運用ルール徹底:現場での正しい運用を支援する
  • PDCAサイクルとベンダー連携:改善活動を継続し、システム効果を最大化する

これらのポイントを意識することで、EAMが単なるシステム導入に終わらず、現場の改善・経営判断の質向上につながります。
柔軟な運用体制と継続的な見直しも、成功への重要なカギです。

まとめ

EAMは設備管理を超え、設備資産ライフサイクル全体を最適化し、企業競争力強化に直結する重要ソリューションです。
自社の運用環境やニーズに合った製品選定と計画的な導入が成功の鍵となります。


当社のEAMサービスは、多様な業界ニーズに対応し、豊富な導入支援実績をもとに最適な提案・効果的な運用を支援します。
ぜひお気軽にご相談ください。

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