クラウドプロバイダとユーザーの責任範囲
Googleドライブのヘルプフォーラムには「2023年5月以降に保存したファイルがほぼすべて消えてしまい、回復を試みたが失敗した」(報告は2023年11月22日)というユーザーの報告を皮切りに、「Googleドライブ上のファイルが見つからない」、「フォルダとサブフォルダはあるが中身がない」等の投稿が複数寄せられており、「I have the same question(同じ質問があります)」ボタンも数百人に押されていることから、相当数のGoogleドライブユーザーにデータ消失障害が起こっている模様です。
Googleによると、デスクトップ版のバージョン84.0.0.0~84.0.4.0で同期に関する問題が発生しており、調査を実施後にアップデートで対応する予定とのこと。続けて、問題が解決される前にデスクトップ版Googleドライブ内での「アカウントの切断」や、アプリデータフォルダの削除や移動をしないよう注意喚起しています。
また、万が一に備えてアプリデータフォルダを別の場所にバックアップコピーすることを推奨しています。
翻ってみると、米Microsoftも2023年1月にはデータ消失こそ報告はないものの、大規模な障害で最大5時間を超えてMicrosoft AzureやMicrosoft 365、Microsoft Teamsなど幅広いサービスがほぼ全世界で利用できなくなった事例があります。
GoogleやMicrosoftのクラウドストレージは、データの安全な保管先として大きな信頼を獲得してきました。ユーザーの中にはバックアップデータの理想的な保管先という認識の方も少なからずいらっしゃいます。
今回のGoogleドライブの顛末が、実際のデータ消失を伴うかどうかは今のところ分かりませんが、仮にデータ消失を回避できたとしても不安は残ります。
実のところ、GoogleやMicrosoftは、サービスのITインフラには責任を持つものの、データの保護は責任範囲として捉えていません。責任の共有や運命の共有という言葉で、データの保護自体はユーザーの責任と規定しています。