【Power Automate Desktop】操作対象のUI要素を動的に変更する方法

【Power Automate Desktop】操作対象のUI要素を動的に変更する方法

その他2024.09.18

PAD_UI要素を動的に変更する方法

はじめに

近年、RPAというものが注目を浴びています。
RPAとはRobotic Process Automationの頭文字をとったもので、PC上で行うルーチンワークの自動化を行うこと、またはその自動化フローを開発するツールのことです。

RPAで自動化する作業として代表的なものを挙げると、Excelシート上の値を別のシートに転記したり、決まった値をシステム操作画面の決まった場所に入力したりといった単純なものが多いかと思われます。

ですが、もう少し自動化フローに柔軟性を持たせて、データの値によって操作する場所を変えたりすることができないかと考えている方もいるのではないかと思います。

MicrosoftのRPAツールである「Power Automate Desktop」を使用すれば、そのような柔軟性をもったフローを作成することができます。

というわけで今回はフローに入力された値によって操作する場所を変更する方法をご紹介したいと思います。

注)今回ご紹介する方法は操作対象のWebサイトやアプリケーションの仕様に大きく依存します。この方法がすべてのWebサイトやアプリケーション操作に適用できるわけではないという点にご留意ください。
また、誤った自動化は損失に繋がる場合もございます。仮に何らかの損失が発生した場合でも、弊社ではいかなる責任も負いかねますので、 ご使用の際は十分にご注意ください。


今回想定する作業

今回は以下の作業とその詳細を想定し、フローを作成します。

現行の作業フロー(想定):

  • 製造国をラジオボタンから選択
  • 製品コードを入力
  • 数量を入力
  • 「登録」ボタンを押下


詳細(想定):

  • A社では商品コードに基づいて、在庫入力システムに商品の製造国と製品コード、および数量を入力する作業を行っている。
  • 商品コードは「[国名コード2文字]-[数字6ケタ]」で構成されている。
  • →商品コード例: US-000001
  • 作業者は国名コードを見てラジオボタンで選択する国を判断している。


  • 操作対象は以下の画面です。
在庫入力システム 画面サンプル

方法

作成する自動化フローの流れは下記の通りです。

  1. フロー実行時、入力変数(引数)として商品コードと数量を入力し、実行
  2. ブラウザを起動
  3. 在庫入力ページまで遷移
  4. 必要項目入力
  5. 「登録」ボタンを押下
  6. ブラウザを閉じる

  まずはフローで操作するUI要素(※1)の確認を行います。
※1: 人が操作する画面を構成する部品のこと。具体的にはボタンやテキストボックスなどが該当します。

UI要素を取得

確認後、UI要素ピッカーから取得対象のUI要素を取得します。
UI要素ピッカー


次に、取得したUI要素の中で「値によって操作対象を変えたい箇所」の編集を行います。今回の作業フローでは、入力した値によって選択する製造国が変わるため、この部分のUI要素を編集していきます。

「値によって操作対象を変えたい箇所」の編集

まず取得したUI要素の一覧画面へ遷移します。
フロー編集画面右上のひし形が三つ重なったようなマークをクリックします。


フローデザイナー→UI要素一覧への画面遷移


今回値によって選択する箇所を変えたいのはラジオボタンの要素であるため、UI要素一覧の中から「Radio Button」の箇所をダブルクリックしてセレクター(※2)編集画面を開きます。
※2: RPAがUI要素を操作する際に参照するUIの識別情報のこと。

セレクター編集画面


Power Automate DesktopがUI要素を操作する際は、このセレクターのチェックが付いている箇所を参照して操作を行っています。この箇所を変数の値によって変えることで、操作するUI要素を動的に変更することができます。

今回の場合だと、ラジオボタンのどの項目を選択するかは「Id」属性の値によって変化するため、この箇所を変数に変更します。

今回の例では、各国名のラジオボタンは同じラジオグループ内に存在するため、ほかのラジオボタンのセレクターを編集する必要はありません。
変更後のセレクター


UI要素の編集が終わったら 、簡単なマウス操作でフローを作成します。

フローを作成


実際に作成したフローを動かしてみます

  • 商品コードが「US-000001」の場合

  • 商品コードが「US-000001」の場合 実行前
    実行後、入力画面が表示されるため、商品コードと数量を指定し、OKを押下します

    商品コードが「US-000001」の場合 実行後
    アメリカが選択され、製品コードと数量がきちんと入っています。


  • 商品コードが「DE-000002」の場合

  • 商品コードが「DE-000002」の場合 実行前
    こちらも実行後、入力画面が表示されるため、商品コードと数量を指定し、OKを押下します

    商品コードが「DE-000002」の場合 実行後
    今度はドイツが選択され、製品コードと数量もきちんと入っています。

    このように、入力する値を変更するだけで本来マウスによる操作を必要としていたラジオボタンの選択アクションなどを代行させることができます。

どのような場面で使えるか

このギミックを応用することで、以下のような処理にも対応することができます。

  • 日時と場所を指定するだけで予約を行うホテル宿泊手続きの自動化
  • 日時と商品、数量を指定するだけで完結する発注業務の自動化

おわりに

今回は値を入力するだけでPC上の様々なアクションを行ってくれるPower Automate Desktopの活用例をご紹介しました。
この機能を上手に活用すれば、日々繰り返される定型作業のコストを低減できるかもしれません。

このコラムが少しでもそれら業務効率化のきっかけになれば幸いです。