「GoAnywhere Managed File Transfer(以下、GoAnywhere MFT)は、米HelpSystems社が提供するシステム連携ソリューションで、グローバル市場で約3000社の導入実績を誇る。国内では2013年から、ソルパックが販売を開始している。
GoAnywhere MFTは一般に、シンプルなETLツール、もしくはFTPベースのファイル転送ツールと捉えられる傾向にある。しかしソルパックでは、GoAnywhere MFTはこうしたETL機能に加え、テーブル単位のDB連携やRESTAPIによるデータ連携などに対応し、ETL、EAI、そしてAPI連携の各特徴を併せ持つユニークなツールであると位置づけている。
ETL機能を備えるツールは市場に多く存在するが、IBM iに導入できるのがGoAnywhere MFTの特徴の1つであり、これにより重要なシステム間のファイル・データ連携を高い可用性で実現する(Windows、Linuxにも導入可能)。
GoAnywhere MFTはブランドの総称で、実際には以下の5つのソリューションで構成されている。
まず、システム間ファイル転送ツールであり、ファイルの転送・暗号化・圧縮およびデータ連携・変換、自動化などの機能を搭載するのが、「GoAnywhere Advanced Workflows」。ファイル転送、DB接続、API連携を行うためのクライアント機能をパッケージ化したツールである。
それにFTPS、HTTPS、FTP、SFTP、AS2、GoFastなどに対応してファイルサーバー機能を提供するのが、「GoAnywhere File Transfer Services」である。
さらにロードバランサやリバースプロキシ、フォワードプロキシといった機能を提供するのが、「GoAnywhereGateway」。これにより、クライアントとサーバー間の通
信にセキュリティレイヤーを加える。
これら3つがシステム間連携に使用される機能であるのに加え、添付ファイルを自動でHTTPSリンク化して配信する「SecureMail」や、個人間のファイル共有を安全に
サポートする「GoDrive」なども、オプションとして用意されている。最近ではSecureMailやGoDriveを目的に導入するユーザーも増えつつある。
同社はIBM i 市場に強固な足場を築いており、GoAnywhere MFTの導入ユーザーも、約半数はIBM iユーザーである。昨今はIBM iの基幹データを多彩な周辺システム
で活用したいというニーズが高まってきており、同社では接続数を制限したライト版も提供することで、導入の足掛かりを作ろうとしている。
GoAnywhere Advanced Workflows は、接続数もデータ転送量も無制限のものから、接続数が制限されたライト版もある。ライト版では接続数を3に制限し、90万円から提供している(ちなみに接続数は、GoAnywhereMFTを中間サーバー等に導入した場合の接続対象となるサーバー数を意味する)。
今後、システム連携ニーズはさらに高まると予想されるが、すべてがリアルタイム性を重視するとは考えにくい。APIもあれば、FTPをベースにしたバッチ型のファイル連携も求められるだろう。そうした多様な連携手法にすべて対応できる点が、GoAnywhere MFTの最大の強みである。
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本記事はi Magazine 2022 Autumnに掲載されたものです。
(c)I Magazine 2022
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