IBM i担当者の退職前に確認しておきたいこと
IBM i2026.10.13
IBM i を長年担当してきた社員の退職や異動が決まり、「何を引き継いでもらうべきなのか分からない」という状況になることがあります。 手順書や仕様書が残っていれば引き継げると考えることもできます。しかし、長期間運用している IBM i では、担当者がこれまでの経験から判断していることや、過去の経緯を踏まえて対応していることなど、資料には残っていない情報も少なくありません。 担当者が退職してから「この処理はどうなっているのか」「なぜこのような仕組みになっているのか」と確認しようとしても、すでに聞ける人がいなければ、その情報を取り戻すことは困難です。 だからこそ、担当者が在籍しているうちに、担当者しか把握していない業務やシステムの知識を洗い出し、後任者や外部の保守担当者へ引き継げる状態にしておくことが重要です。
日常的な定型作業は、比較的手順書へ残しやすい情報です。 一方で、「通常とは異なる結果になった場合にどこを見るか」「このエラーなら再実行してよいか」「どの業務部門へ確認するか」といった判断は、担当者の経験に残っていることがあります。 手順書に操作方法が書かれていても、例外時の判断まで説明できなければ、後任者が同じ対応を行えるとは限りません。こうした判断には、過去に発生した障害や業務上の取り決めなど、担当者が経験の中で身につけた知識が関係していることもあります。 退職前には、定型業務だけではなく、障害や例外が発生した場合に担当者がどのような手順で状況を確認し、どのような判断を行っているのかを確認しておくことが重要です。
仕様書や設計書が残っている場合も、その内容をそのまま引き継ぐのではなく、現在のシステムと一致しているか確認する必要があります。 長年の個別改修によって、当初の資料には記載されていない処理が追加されている場合があります。 現在も利用している資料はどれか、内容が古くなっている部分はどこか、実際のプログラムと異なる箇所がないかを確認することで、資料が現行環境をどこまで反映しているかを把握できます。 「資料が残っている」という事実だけではなく、「その資料で現在のシステムを説明できるか」という視点が重要です。
退職前に確認しておきたい情報の一つが、稼働プログラムに対応するソースの所在です。 現状調査を進めると、現在稼働しているプログラム自体は存在しているものの、対応するソースが確認できないケースがあります。 通常運用中は問題がなくても、将来、改修や障害対応で処理内容を確認する必要が生じた際には、ソースがなければ対応が難しくなる場合があります。 どこにソースが保管されているのか、どのようなルールで管理されているのかを、担当者が在籍しているうちに確認しておくことが重要です。
IBM i 担当者が把握している業務は、IBM i 内部の運用だけとは限りません。 業務によっては、IBM i と関連するシステムや運用手順、担当者間の調整事項など、IBM i の外側にも確認しておくべき情報があります。 例えば、ジョブスケジューラの設定内容、バックアップの実施手順、ユーザー権限の管理方法、外部システムとのデータ連携に関する運用ルールなどです。こうした運用は、長期間問題なく続いていると、担当者しか把握していないルールや設定があっても、資料化や見直しが行われないことがあります。 そのため、担当者の退職後に障害対応や改修が必要になった際、初めて運用方法が分からないことに気付くケースもあります。 担当者が在籍しているうちに、IBM i 単体の情報だけでなく、関連する業務や運用についても、どのようなルールで行われているのか、必要な情報がどこにあるのかを確認しておくことが重要です。
引き継ぐべきなのは、プログラムや資料だけではありません。 障害が起きたときに確認する業務部門、外部の保守会社、他拠点の担当者など、誰とどのような場面で調整しているのかも重要な情報です。 例えば、特定の処理を変更する前に業務部門へ確認している、外部システム側の担当者と実施時間を調整している、といった運用がある場合があります。 「誰が何を担当しているか」だけでなく、「どのような場合に誰へ確認するのか」まで整理しておくことで、後任者が障害対応や改修を行う際にも、適切な関係者へ確認できるようになります。
担当者の知識やシステム資産を整理するには、時間をかけて確認する必要があります。 資料の所在を確認する、現行プログラムと仕様書を照合する、ソースコードを調べる、周辺システムとの連携を洗い出すといった作業を、退職直前にまとめて行うのは難しい場合があります。また、確認を進める中で新たに疑問点が見つかれば、担当者に確認する時間も必要になります。 すべてを詳細に文書化するのではなく、日常運用、障害対応、重要なバッチ、主要な連携など、運用への影響が大きい部分から整理する方法もあります。 担当者が在籍している期間を活用し、優先順位を付けて早めに確認を進めることが重要です。
IBM i 担当者の退職を前に、手順書だけではなく、例外時の判断、仕様書と現行環境の差分、ソースコード、Excel や周辺業務・外部システムとの連携、障害・改修時の関係者まで確認しておくことが重要です。 引き継ぎの目的は資料を増やすことではなく、後任者や外部の保守担当者が現在のシステムと運用を把握できる状態にすることです。担当者が在籍しているうちに優先度の高い情報から確認することで、今後の保守体制を検討するための材料を整理できます。
SOLPAC は、IBM i 環境のプログラム資産やドキュメント、運用情報の整理を支援し、担当者の退職・異動に備えた引き継ぎや保守体制の整備をサポートしています。退職前に何を確認し、どの情報を後任者や外部の保守担当者へ引き継ぐべきか判断に迷う場合は、SOLPAC へご相談ください。
A. できます。後任者が決まっていない場合でも、現在の担当者が把握している業務やシステムの情報を整理しておくことは重要です。特に、担当者しか把握していない運用ルールや障害対応時の判断、関連するシステムや担当者との調整方法などは、退職後に確認することが難しくなります。まずは情報を整理し、後から後任者や外部の保守担当者へ引き継げる状態にしておくことが有効です。
A. すべてを一度に整理するのではなく、障害が発生した場合の対応、重要なバッチ処理、日常的に行っている運用、外部システムとの連携など、業務への影響が大きいものから優先することをおすすめします。また、担当者が不在になると対応できなくなる業務がないかを確認することも重要です。
A. 必ずしもすべてを詳細に文書化する必要はありません。まずは、現在の運用を継続するために必要な情報や、担当者が不在になると判断できなくなる情報を優先して整理することが重要です。そのうえで、必要に応じて資料の更新や追加の整理を進めることで、負担を抑えながら引き継ぎの準備を進めることができます。
A. IBM i のプログラム資産が多く、担当者だけでは全体を把握することが難しい場合は、分析ツールを活用する方法があります。プログラムやファイルの関連性、呼び出し関係などを分析することで、担当者の知識だけに頼らず、システム全体の構成を整理することができます。担当者が在籍しているうちに、ツールによる分析と担当者への確認を組み合わせて進めることが有効です。
現状調査から保守・運用、アプリケーション開発、モダナイゼーションまで、IBM iを継続活用するための各種サービスをご紹介しています。
担当者不足や引き継ぎ、現状調査、運用改善など、IBM iに関するお悩みを担当者が丁寧にサポートします。 お気軽にお問い合わせください。