内部不正はなぜ「信頼している社員」が起こすのか。心理・状況・組織の構造から考える

内部不正はなぜ「信頼している社員」が起こすのか。心理・状況・組織の構造から考える

セキュリティ2026.05.21

20260520
「あの人がそんなことをするとは信じられない。」
内部不正が発覚したとき、経営者・同僚が最初に発するのはこの言葉です。内部不正を起こすのは、最初から「悪意のある社員」とは限りません。長年信頼されてきた優秀な社員が、ある日突然情報を持ち出す。こうした事例は現実に多く発生しています。なぜこのようなことが起きるのかを理解することが、予防の第一歩です。

内部不正の「不正のトライアングル」

犯罪学・組織行動学の分野では、不正が発生する要因として「不正のトライアングル」という概念が知られています。機会(不正ができる状況がある)、動機(不満・焦り・金銭的プレッシャーなど)、正当化(「これくらいは許されるはず」という自己弁護)の3つが揃ったとき、不正が起きやすくなるという考え方です。
この3要素のうち、経営者が最もコントロールしやすいのが「機会」です。「やろうと思えばできる状況」を排除または監視することで、内部不正を大幅に抑制できます。

「普通の社員」が不正に至る典型パターン

パターン①:転職・退職を決意した後
転職先・独立に有利になると考え、在職中に顧客リスト・技術情報をコピーするケースです。「長年貢献したのだからこれくらいは」という正当化が働くことがあります。

パターン②:不満やストレスが蓄積した場合
評価への不満、降格、人間関係のトラブルなどがきっかけとなり、「会社への報復」という動機で情報を持ち出すケースです。優秀で責任感の強い社員ほど、追い詰められたときのダメージが大きいことがあります。

パターン③:金銭的なプレッシャー
個人的な借金・生活苦が背景となり、業務上アクセスできる情報を外部に売るケースです。このパターンは事前には気づきにくいため、アクセスログによる監視が特に有効です。

「環境」が不正を防ぐ

人の内面(動機・正当化)をコントロールすることは難しいです。しかし「機会」を減らすことは、組織として対策できます。
「PC操作が記録されている」という環境を整えることで、不正の機会(バレずにできる)を心理的に消すことができます。「どうせ記録されているから、やめよう」という抑止力が働きます。これは「性善説・性悪説」の話ではなく、誰もが合理的に判断する結果です。

よくある質問(FAQ)

Q. 長年勤務した幹部社員の操作も記録すべきですか?

A. はい、むしろ権限が大きい社員ほど、アクセスできる情報の価値が高いため、記録は重要です。「幹部だから信頼している」という考え方は、万が一の場合に被害を大きくするリスクがあります。

Q. 内部不正の兆候は事前にわかりますか?

A. 完全には難しいですが、「退職意向後の大量ダウンロード」「深夜・休日の業務外操作」「普段アクセスしないファイルへの繰り返しアクセス」などはアラートで検知できます。

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