1.IBM POWER(AS/400)・IBMi(AS/400)が再評価されている
近年、IBMiからの離脱を検討または実施したのち方針を180度転換して、IBMiを継続使用または再導入する事例が見受けられるようです。
記事にある5つの事例を通じてIBMiが選ばれ続ける理由が見えてきました。
事例まとめ |
業種 |
IBMi(AS/400)へ回帰または継続利用の経緯 |
IBMi(AS/400)からのマイグレーション理由 |
事例1 |
運送・倉庫業 |
クラウド型の国産ERPを検討し大量のカスタマイズが発生するも、4年掛けて本番を迎えるも2週間で現場NGとなり、IBMiへ回帰。 |
長年のシステム改修によるつぎはぎ化されたシステムが経営陣の要望に答えられずれ国産ERPへ。 |
事例2 |
産業設備・ 商社 |
国産ERPに移行するも、非効率な入力作業、機能不足、悪い使い勝手で現場が大混乱。改修を重ね5年間使用したが使い物にならず、IBMiへ回帰。 |
過去のディスクトラブルによるシステム停止や漠然としたIBM iへの不安から他のプラットフォームを選択。 |
事例3 |
製造・ 輸入販売業 |
機能比較で大量のカスタマイズが必要になることが判明しパッケージ移行を断念。IBMiのクラウドサービスで過去の不安を解消してIBMiを継続使用。 |
ディスク障害が発生し、社内にIT専任要員をもたない現在の体制に不安を抱く。クラウドサービスへの移行を考えERPパッケージの検討へ。 |
事例4 |
宝飾・ 輸入販売業 |
機能比較の結果、機能不足が判明し大量のカスタマイズが浮き彫りに。5年間のランニングコストに劇的な差がなかったのでIBMiを継続利用。 |
親会社が変わるのを機に、ランニングコストの削減が要請される。オープン系業務パッケージ製品の検討へ。 |
事例5 |
運送・倉庫業 |
業務をよく理解するシステム部が、IBMiがプラットホームに最良と経営側を説得して核の部分を残す形で、IBMiを継続利用。 |
親会社の変更を機に、IT基盤の共通化とシステムの見直しに着手。いつまで使えるかわからないIBM i環境から脱却の指示へパッケージ製品の検討へ。 |
出典:iMagazine 「IBM i 回帰・継続のシナリオ ~IBM iを使い続ける理由、手法、戦略とは」 より
これらの事例から、オープン系ソフトウェアによるマイグレーションに踏み切る理由は主に、
- IBM Power(AS/400)は古いマシンと言う思い込み
- 自社の保守体制が脆弱
- パッケージに比べ、IBMiの運用コストが割高になるという感覚的思い込み
- いつ供給がSTOPするかわからないシステムという漠然とした思い
の4つであることがわかります。
「自社の保守体制が脆弱である」という理由を除くと、IBMi(AS/400)に対する理解不足が、オープン系ソフトウェアへのマイグレーションを選択する主な理由となっています。
その後、比較検討や開発を進めた結果、想定していたことと現実とのギャップが大きく、最終的にIBMi(AS/400)への回帰または継続使用に至っています。
オープン系ソフトウェアへのマイグレーションを断念した理由をまとめると、
- 自社の要件を満たすには、大量のカスタマイズが必要と判明し、IBMi(AS/400)のプログラムを使用することにした。
- 大量のカスタマイズに対応を行ったが、長年かけて構築したIBMi(AS/400)のシステムの機能に追いつけなかった。
- カスタマイズ費用などの初期投資を含めたランニングコストがIBMi(AS/400)を継続使用した場合と遜色がなかった。
- IBMからIBMi(AS/400)への投資継続の宣言による継続使用の不安の払拭
パッケージに業務を合わせるという考え方もありますが、長年自社の業務に合わせて構築したシステムを捨てて、パッケージの仕様に
業務を合わせることは難しく、新システムに移行することによって発生する現場への作業負荷は容易に受け容れられなかったようです。
特にIBMi(AS/400)の主要顧客である中堅・中小企業の場合、自社の得意分野として特化している業務に最適化したシステムを
構築していることが多く、それに対しパッケージは汎用的な大企業向け仕様のものが多いために、対応が必要なギャップが多く
発生することがあります。
これだけを見るとパッケージに問題があったため、仕方なくIBMiの継続使用に舵を切ったように感じられるかもしれませんが、
そうではありません。記事では深く触れていませんが、IBM Power(AS/400)やIBMi(AS/400)のメリットも考慮されたに
違いありません。