SAP 『2027年問題』 SAP Business Oneは?

SAP 『2027年問題』 SAP Business Oneは?

SAP Business One2025.02.17

250217

はじめに

企業の情報システムにおける基盤を支える「ERP(エンタープライズ・リソース・プランニング)」システム。
その中でも、SAPは世界中の企業で多く利用されており、特に「SAP ECC(SAP ERP Central Component)6.0」やその後継である「SAP S/4HANA」は、多くの大企業に採用されています。
しかし、2027年に重要な転換点を迎えようとしており、それが「SAP 2027年問題」です。
本コラムでは、SAP 2027年問題の概要とそれに伴う企業の対応策を説明します。
さらに、SAPの中小企業向けERP「SAP Business One」と、大企業向けの「SAP ECC / S/4HANA」の違いについても説明します。
これらの違いを理解することで、企業が今後のERP戦略をどのように選択すべきかを見極める手助けになれれば幸いです。

2027年問題の概要と主な対応策

SAP 2027年問題とは、SAPのERPソフトウェア「SAP ECC(SAP ERP Central Component)6.0」の保守サポートが2027年12月末で終了することを指します。
SAP ECC 6.0は、これまで多くの企業で利用されてきた基幹システムであり、財務管理や製造業務、物流管理などの業務プロセスを効率的にサポートしてきました。
しかし、SAPはこれを2027年にサポート終了とし、その後は継製品の「SAP S/4HANA」への移行が求められることとなります。
保守サポートの期限が終了してしまうと、新機能の追加や修正プログラムの提供、システム改善などのサポートが受けられない状態になるため、 セキュリティリスクの増大やトラブル時の対応ができないなど業務に支障をきたす可能性があります。
そのため、企業が取るべき主な対応策としては以下が挙げられます。

①SAP S/4HANAへの移行
SAP社の推奨としては、最新版であるSAP S/4HANAへの移行です。
S/4HANAは、ECC 6.0と比べて優れた性能を持ち、リアルタイムデータ分析や機械学習などの機能を活用することができます。
しかし、この移行には時間とコストがかかり、加えて業務プロセスやカスタマイズ内容の見直しが求められます。

②サポート延長オプションの継続利用
企業によっては、2027年までにS/4HANAへの移行が完了しない場合もあるため、SAPはサポート延長オプションを提供しています。
追加料金を支払うことで、期限を2030年末まで伸ばす延長サポートを受けることができ、移行に向けた準備期間を延ばすことが可能です。

③他のERPシステムへの移行
SAP以外のERPシステムへの移行を検討する企業もあります。
しかし、その場合は新たなシステムの導入に伴う大規模なトレーニングやプロセス変更が必要となるため、慎重な検討が求められます。

SAP Business OneとSAP ECC / S/4HANAの違い

SAPは、企業規模に応じて異なるERPソリューションを提供しています。
ここでは、特に中小企業向けの「SAP Business One」と、大企業向けの「SAP ECC / S/4HANA」の違いについて詳しく見ていきます。

1. ターゲットユーザーの違い
・SAP Business One
SAP Business Oneは、主に中堅・中小企業(SMB)向けに設計されています。
比較的シンプルな業務プロセスを持つ企業に最適化されています。

・SAP ECC / S/4HANA
SAP ECCやSAP S/4HANAは、大企業や多国籍企業向けに設計されています。
多国籍企業や、非常に多くの部門や業務プロセスが複雑に絡む企業に最適です。

2. 機能範囲
・SAP Business One
SAP Business Oneは、基本的な業務機能を提供します。
財務、購買、販売、在庫、入出金、生産、MRPなど、標準的な機能が揃っています。
28カ国の言語にも対応しており、国内外問わない業務プロセスが可能で、 ITスキルを必要としない、シンプルで直感的な操作が特徴です。

・SAP ECC / S/4HANA
SAP ECCやS/4HANAは、SAP Business Oneのような標準的な機能に加えて、製造、物流、調達など多くの業務プロセスをカバーします。
さらに、S/4HANAではリアルタイムデータ分析や機械学習やテキストマイニングなどの機能を活用すれば、高度な分析やリアルタイム予測をビジネスの現場に投入できます。

3. 導入コストと期間
・SAP Business One
SAP Business Oneは、短納期、低コストが特徴です。
数ヶ月で導入できることが多く、初期投資も比較的少なく抑えられます。
中小企業にとっては、少ないリソースで迅速に業務効率を改善できる点が大きなメリットです。

・SAP ECC / S/4HANA
SAP ECCやS/4HANAの導入は高額で、時間がかかることが一般的です。
導入に1年以上かかることもあり、コストは数千万~数億になることがあります。
そのため、企業の規模やニーズに応じて、慎重に計画する必要があります。

4. カスタマイズ性と拡張性
・SAP Business One
SAP Business Oneは、カスタマイズ性が限られているものの、基本的な業務ニーズに合わせたアドオンや機能追加は可能です。
中小企業のシンプルなニーズには十分対応できますが、複雑な業務プロセスに対応するには制限がかかる場合があります。

・SAP ECC / S/4HANA
SAP ECCやS/4HANAは、非常に高度にカスタマイズ可能で、企業の特定のニーズに合わせて多くの設定や拡張ができます。
業界特化型のアドオンや、複雑なビジネスプロセスに対応するための機能も提供されています。

5. 技術基盤
・SAP Business One
SAP Business Oneは、比較的シンプルな技術基盤を持ち、クラウド型やオンプレミス型の選択肢があります。
中小企業向けの拡張性で、インフラの負担が少ないことが特徴です。

・SAP ECC / S/4HANA
SAP ECCやS/4HANAは、インメモリーデータベース「SAP HANA」を活用した高速なデータ処理やリアルタイム分析機能が特徴です。
大規模なインフラとリソースを必要とし、複雑な業務を支える強力な技術基盤を持っています。

SAP Business Oneと2027年問題

上記の通り、SAP Business Oneは、SAP ECCやS/4HANAとは全くの別製品です。
そのため、サポートのライフサイクルも異なるので、SAP ECCのサポート終了の影響無く安心してご利用いただけます。

おわりに

SAP 2027年問題は、企業にとって単なるシステム更新の問題ではなく、ビジネスの成長戦略やDXの実現に向けた重要な機会です。
SAP ECCからS/4HANAへの移行には時間とコストがかかりますが、これを機に業務の効率化やデータ活用を強化することができます。
また、企業は移行計画を早期に立て、必要なリソースを確保し、移行後の運用も含めた全体的な視点で対応策を検討することが求められます。
特に中小企業にとっては、SAP Business Oneの活用やクラウド型の選択肢が有力な解決策となるでしょう。
今後の企業の成長に向けて、SAP 2027年問題を乗り越えるためには、技術だけでなく経営者のビジョンと意思決定が重要となるので、 この機会に、企業の未来に向けた強固な基盤を築いていくことが求められています。

また、SAP 執行役員によるSNSでの声明を本サイトでまとめておりますので、よろしければこちらもあわせてご覧ください。
【SAP Business One 10.0】SAP 執行役員によるSNSでの声明 | ソルパックコーポレート

SOLPACが選ばれる理由

WhySOLPAC