日米IBM iユーザー動向比較(1/2)

日米IBM iユーザー動向比較(1/2)

その他2022.10.12

はじめに

よく『日本は海外に比べてIT化やDXが数年遅れている』と言われます。おそらく業務でITに密接に関わる方であれば、素直に同意できる部分も、逆に疑問を感じる部分もあるかと思います。
とはいえ、日常業務の中で日本と海外の両社を俯瞰する機会のある方は稀で、ほとんどの方は『なんとなく』の範囲に収まっているのではないでしょうか。

本コラムはIBM iユーザー企業向けに行われた日本と海外のアンケート調査を基にトレンドを比較して、現状を大まかに把握することを目的としています。
なお、比較には、アイマガジン株式会社の『IBM i ユーザー動向調査 2022』(有効回答356企業)と米HelpSystems社の『2022 IBM i Marketplace Survey Results』(有効回答500企業)のアンケート調査を使用しています。
両社のアンケートには様々な設問がありますが、本コラムでは同様または類似する設問のみを比較対象として抜粋させていただきました。

国民性や文化の違いによって大切なものや優先順位は変わります。当然ながら、重要視される要素が異なるということは評価軸が異なることを意味します。
本来であれば単純な比較はあまり意味を成さないかもしれませんが、本コラムをお読みくださった方々の現状把握の一助となり、今後のポジティブな発想に繋がる何かになれば幸いです。

回答企業の業種

回答企業の業種

日本では海外に比べて製造業からの回答が多く、逆に金融系、医療系、技術系からの回答が少ない傾向にありますが、どちらも幅広い業種でIBM i が活用されていることが見て取れます。

回答企業の従業員数

回答企業の従業員数

最も多く回答された従業員数は日本も海外も『100~499名』で共通ですが、その他の回答を含めて構成は大きく異なります。
日本では従業員数『100~499名規模の企業』が多く(海外の約1.8倍)、回答の半数を超えています。
逆に海外では『5000名以上』が多く(日本の訳7.5倍)、回答の2割を超えています。

全体的な傾向として、日本では中小企業の多くで利用され、海外では企業の規模に依らず利用されている印象です。

情報システム部門の要員数

情報システム部門の要員数

設問が異なるため厳密な比較はできませんが、情報システム部門が管理者と開発者の合計と見た場合、海外の中央値は管理者約1.2人と開発者約3.9人の計訳5.1人。
日本の中央値は約5.7人ですので、日本の方が情報システム部門に人材を若干多く抱える傾向があるかもしれません。
皆様の情報システムでは、開発者数と管理者数の比率はいかがでしょうか?

利用中のPower Systemsの台数

利用中のPower Systemsの台数

Power Systemsを1台のみで利用している企業が6割を超える日本とは対照的に、海外では複数のPower Systemsを利用する企業が7割です。

IBM i の利用区画数(開発用も含む)

IBM iの利用区画数

総じて海外の方が日本よりも1企業あたりの利用するPower Systems数が多いことが予想されるため、IBM i の総区画数の分布を単純に比較することは困難ですが、概ね日本では1区画または2~3区画までで使用するケースが多く、海外の方は区画構成の幅が広いと考えられます。

利用中のIBM i のバージョンとPower Systemsのモデル

利用中のIBM iバージョン

利用中のPower Systemsのモデル

古いバージョンやモデルから新しいバージョンやモデルへ移行するトレンド自体は国内・海外問わずに変わりませんが、新しいバージョンやモデルを利用することに対して、海外は日本よりもより積極的な印象です。

アップグレード予定とPower10への移行・導入予定

アップグレード予定

Power10への移行・導入予定

近々のアップグレード予定やPower10への移行・導入予定を見るとその傾向がさらに顕著ですが、これは日本のユーザーがアップグレードに対して消極的というよりも、安定稼働を好む慎重性が浮き彫りになっているように感じます。

まとめ

今回のコラムでは、IBM iを利用するユーザー企業の現状と、今後のアップデート意識について、日本と海外の違いを大まかに比較してみました。
次回は「IBM i システムのクラウド利用の状況」や「IBM i で使用中のオープンソースツール」など、利用法のトレンドについて比較を行いたいと思います。
お楽しみに。