日米IBM iユーザー動向比較(2/2)

日米IBM iユーザー動向比較(2/2)

その他2022.10.31

日本と海外におけるIBM iユーザーの動向調査の比較について2回目となる今回は、IBM iシステムにおけるクラウド利用や、IBM i以外のOSやオープンソースツール活用などのトレンドに注目して前回の続きからお話ししたいと思います。

IBM i アプリケーション/システムの運用基盤

IBM iアプリケーション/システムの運用基盤

設問の違いを吸収すると、海外でのオンプレミスでの利用率は93%(78%+15%)、ハウジングまたはクラウドでの利用率は22%(7%+15%)となります。
オンプレミスでの利用率は日本よりも海外の方が18ポイント以上も高いですが、ハウジングまたはクラウドでの利用率は若干日本の方が高い程度に留まります。

それらの差異は確かにありますが、日本と海外における運用基盤の一番の違いは、複数の運用基盤の『併用』にあるように思えます。

日本の回答を眺めると、複数回答による合計は103.3ポイントですが、ここからハイブリッドの2.2ポイントを除くと、ほぼ回答に重複がないことが分かります。
つまり、『オンプレミス』、『ハウジング』、『クラウド』の3種類の全てを利用することがハイブリッドと定義されたために『ハイブリッド』の回答数が低調なのではなく、単純に運用基盤の併用自体があまり選ばれていない様です。

IBM i システムのクラウド利用の状況

IBM iシステムのクラウド利用の状況

クラウドの利用の状況について、現時点で既に運用されている比率は海外の方が高いですが、国内でも検討中あるいは予定があると回答した企業は多く、将来てきには海外と国内で大きな差は無くなっていく可能性が考えられます。
日本ではシステムの一部もしくは全てをクラウド上に配置する利用法が先行していますが、今後はHA(高可用性)/DR(災害復旧)やバックアップ、あるいは開発・テスト用でクラウドを活用するという方法も伸びが期待できます。

IBM i 以外で利用中のサーバーOS

IBM i以外で利用中のサーバーOS

日本ではIBM i 以外で利用するOSとしてはWindowsサーバーが9割近くで最も多く、その利用率は海外を超えますが、逆にLinuxは海外の方が高い傾向が見て取れます。
また、日本ではその2種類以外のOSの利用としては低調ですが、海外では多様なOSの利用が行われているようです。
ここまでであれば、海外の方がOSの採択には柔軟で先進的な印象を受けますが、IBM i のみで利用している企業の比率は日本よりも海外の方が高く、その点では日本よりも保守的とも言える側面があります。

IBM i 上で新規開発する場合の開発言語

IBM i上で新規開発する場合の開発言語

IBM i 上で新規開発する場合に選択される開発言語は、RPGとCLは日本と海外でほぼ同等ですが、SQLやJava等は圧倒的に海外の方が高く、ここからもオープン系技術の利用は海外の方が積極的であることが見て取れます。

IBM i で使用中のオープンソースツール

IBM iで使用中のオープンソースツール

全体的にオープンソースツールの利用は、バリエーションを含めて海外の方が積極的です。とはいえ、採用率の高いツールの傾向は日本でも変わらない様です。

Rational Developer for i の利用状況

Rational Developer for iの利用状況

Rational Developer for i の利用率は海外の方が高く、利用していないと回答した比率が海外では4割に満たないのに対して、日本では8割を超えています。
ただ、日本でも利用は着実に伸びていますので今後この差は縮まる可能性があります。

IBM i の今後の計画

IBM iの今後の計画

海外では23%の企業がIBM i から別のプラットフォームへの移行を計画しており、その内およそ8割が5年以内に完全移行を予定していると回答しています。
ただし、IBM i の利用を今後拡大すると回答した企業も24%あるため、一概にIBM i の市場が縮小傾向にあるとは言えません。

また、日本でもIBM i 以外のプラットフォームへの移行を計画している企業が16.5%ありますが、IBM i ベースのクラウドへ移行する企業も16.3%あるため活用範囲の拡大が期待されます。

IBM i 以外の移行先のプラットフォーム

IBM i以外の移行先プラットフォーム

IBM i 以外のプラットフォームに移行する場合に、移行先として海外ではWindows以上にSaaSを選ぶ企業が多く、クラウドで6割、オンプレミスでは8割近くがWindowsを選ぶ日本とは大きく異なります。

まとめ

あくまでも個人的な感想となりますが、今回の比較調査で、海外の状況は非常にスピーディーかつ自由であると感じました。反面日本の状況は慎重で安心感があると感じました。

言語の違いによるハードルの高低差はあるとは思いますが、海外の企業はそれぞれの独自判断で有効と感じた新しい技術や環境をスピーディーに取り入れることに積極的な印象です。
ただし、それは各々の企業に様々なサービスや技術が入り混じることを意味しますので、企業内あるいは企業間の協調に際しては若干の不安を覚えます。
逆に、日本の様に新しい技術や環境の採用に慎重である姿勢は、枯れた技術の安定性という非常に大きな恩恵を受けられるのは事実ですが、企業にとって有益な機会を損失する可能性も十分に考えられます。

拙速すぎる先進性はリスクを伴いますし、巧遅すぎる保守性も利益を減じます。
保守性の持つ安定感を確保しつつ先進性の持つ利益を享受するためには、一足飛びに新技術の導入に踏み切るだけではなく、架け橋となるサードパーティー製品等の活用も選択肢のひとつになるかもしれません。

例えば、日本と海外の動向比較ではありませんが、アイマガジン株式会社の『IBM iユーザー動向調査 2022』に記載されている
  • 『IT部門が参画すべき短期・中期的な経営課題』
  • 『検討中・導入予定のセキュリティ対策』
上記の2つのアンケート結果について考えてみます。

付録:IT部門が参画すべき短期・中期的な経営課題

IT部門が参画すべき短期・中期的な経営課題

企業において、IT部門が主体となって推進すべき、あるいは協調して取り組む必要のある経営課題は多岐にわたります。
アンケート回答者の意識上でも、これらが多くの関心を集めていることが分かります。
とはいえ、実際に課題のひとつひとつを、システムの改修や運用・教育の見直しなどで解決することは難しいことの様に思えます。

弊社取り扱い製品『GoAnywhere MFT』であればこれらの一部に対して解決策を提供できるかもしれません。
『GoAnywhere MFT』は、システム、従業員、顧客、取引相手間における多種多様なファイル転送をセキュアに効率化するファイル転送管理ソリューションです。
ファイル転送を伴う業務であれば、業務効率や生産性の向上に寄与しますし、教育にかかる人材確保やコストも削減できます。
また、迅速・簡便・安全なファイルの転送は、経営層の情報把握を高速化させ、DXの推進を加速します。

付録:導入中・導入予定のセキュリティ対策

検討中・導入予定のセキュリティ対策

セキュリティ対策に関しても同様で、アンケートの結果では多くの企業で様々なセキュリティ対策が検討、あるいは導入がされています。
当然ながら、これらを人の手だけで実現するならば膨大な時間やコストが予想されますし、ミスによるリスクも計上する必要があるでしょう。

弊社取り扱い製品であれば、『SOLPAC Security Suite』と定義する製品群がこれらに対して一定の解決策を提供できるかもしれません。
『Enforcive』は、Power Systemsの不正侵入アクセス防止、ユーザー管理、オブジェクト単位の認可権限およびジャーナルを利用したフィールド単位の変更前後のログを検索可能にするセキュリティーツールです。
また、『Powertech Antivirus』はIBM i のIFS領域をウイルスの脅威から保護するウイルス対策製品です。

複数のセキュリティ対策製品を組み合わせることで、様々なセキュリティ要件を簡便かつ低コストで実現できます。
弊社では様々な製品を取り扱っていますので、単一の製品もしくは複数の製品を活用することで、懸け橋となるソリューションをご提供できるかもしれません。
弊社取り扱い製品についてはWebでもご紹介していますので、気になる製品がございましたらお気軽にご連絡ください。