導入事例

平河ヒューテック株式会社様 ファイル転送ツール「GoAnywhere」をシステム連携・EDI・バックアップなど多彩に活用

製品
  • データ連携
  • EDI
  • IBM i
  • GoAnywhere

多彩なデータ連携の要件を1つのツールで実現。ユーザーの課題解決に積極的に適用。

平河ヒューテック株式会社
ファイル転送ツール「GoAnywhere」をシステム連携・EDI・バックアップなど多彩に活用
多様な機能に着目し、ユーザーの課題解決に積極的に適用

平河ヒューテック株式会社様 GoAnywhere採用事例(PDFファイル/307KB)

Windowsへ切り出した会計システムとの連携が課題に

第2次大戦後まもない1948年にエレクトリックワイヤーの専門メーカーとして誕生した平河ヒューテックは、創業70年を過ぎた現在、子会社21社を擁し、北米およびアジアでも事業を展開するグローバルメーカーへと成長している。製造品目も、世の中の電気・電子需要の広がりとともに、エレクトリックワイヤーから伝送・放送機器へ、さらに電線ケーブル技術を応用した医療チューブ製品などへと拡大してきた。現在は、新たに創設した車載事業の製造拠点としてフィリピンに新工場を建設中だ。 同社では事業を支える基盤として、1970年代にIBMのミッドレンジ機を導入し、代々利用してきた。現在の基幹サーバー は Power 720 Express(IBM i 7.1)である。IBM i上の基幹系システムは導入当初からRPGで自社開発し、自社で運用・保守を行ってきた。
2010年代半ばに、基幹系システムの老朽化が目に付くようになってきたため、ERPパッケージによる基幹システム再構築の検討を行った。そして最初のステップとして実施したのが、IBM iから会計システムを切り出し、Windowsサーバーへ移行する改修である。Windows上の会計パッケージには富士通の「GLOVIA」を採用した。 同社の売上・会計管理は、売上や仕入などのデータを日次で締め、翌日に経営層や関係部署が確認するという体制である。そのために基幹システムで処理した日次データは、すぐに会計システムへ取り込んで処理する必要がある。従来は会計システムがIBM i上にあったのでデータの変換や転送は不要だったが、GLOVIAの導入に伴い、IBM iとWindowsとの連携をどのように行うかが課題になった。 

図表1

使い慣れた方法で行うならば、PCOMMによる連携である。しかし、情報システムグループの永井俊行氏(本社チーム チームリーダー)は、「PCOMMを利用するのは不安でした」と、次のように語る。「当社ではBCP対策の1つとして、システムの日次テープバックアップとは別に、各拠点へ日次で受注データなどを転送していました。そしてそれ用に利用していたのがPCOMMですが、データの未転送などのトラブルがたまに起きていました。その経験があるのと、基幹システムから会計システムへのデータ転送ではロスなどが起きては絶対に許されませんから、PCOMMに代わる、連携を確実に行える仕組みが不可欠だと考えていました」
検討の結果、採用したのはソルパックのファイル転送ツール「GoAnywhere」である。同製品は、マルチプラットフォームや多様なデータ形式に対応し、ファイル転送に関わるさまざまな課題を解決する機能を備えている。またシステム間の複雑なデータ連携も3ステップで設定可能という特徴ももつ(図表1)。
GoAnywhereを利用した本番システムの稼働は2016年12月。それから丸4年が経過したが、「GoAnywhereに関するトラブルはまったく起きていません」と、永井氏は言う。
「GoAnywhereはIBM i上にあるのでCLで起動できるのが非常に便利で、固定長データの取り出しやCSVへの変換も行え、GLOVIAに確実に転送できます。監査ログも残せるので、信頼性も飛躍的に高まりました」(永井氏)。 

多様な注文データの基幹取り込みにも適用

 基幹システムと会計システムとの連携を実現して以降、同社では「GoAnywhereの可能性」(情報システムグループ グループリーダーの大塚覚氏)に着目して、さまざまなシステムへの適用を進めている。
 1つはEDIへの適用である。同社では得意先の一部からEDIで注文を受けているが、メールやWeb経由で送られてくるデータの形式が得意先ごとにまちまちなため、GoAnywhereの導入前は基幹システムへの取り込みに非常に苦労していた。具体的には、注文データの書式から基幹システムの取り込みに不要な行を除外したり、不要な文字を除去するプログラムをRPGで多数作成していたのである。
 GoAnywhereの導入後は、送られてきたExcelやCSVの形式のまま、GoAnywhereの設定や変換機能だけで取り込めるようになった(図表2)。「これまでの苦労が解消されました」と、永井氏は語る。

図表2

データバックアップに適用しテープ装置を廃止へ

 GoAnywhereのもう1つの適用先は、日次のデータバックアップである。
「当社ではこれまで、IBM iを置く古河事業所で日次のテープバックアップを行ってきましたが、システム部員が少ないうえに、勤務地が古河、本社、福島工場に分散しているため手動で行う作業の負荷が非常に大きく、テープ装置によらない代替策を探してきました。そうしたなかで、基幹-会計連携がGoAnywhereでうまく回っているのを見て、日次バックアップにもGoAnywhereが使えるのではないかと考えたのが発端です。約1年間テストを継続してきましたが、トラブルはまったくなく、実運用に使える見通しが立ってきました」と、永井氏は説明する。
 仕組みとしては、SAVLIBにより作成したファイルを、GoAnywhereを使ってIFS上にコピーして圧縮し、それを本社と古河のそれぞれのNASサーバーへ転送するだけである。この方式にすると、SAVLIBの起動からNASサーバーへの転送・保存までを完全に自動化できる(図表3)。
「課題は、テープであれば約10分のバックアップで済むのが、GoAnywhereを使う仕組みではIFS上のデータ圧縮とネットワーク転送に時間がかかるため、約1時間を要します。データの安全性を高めるためにもバックアップ時間の短縮は必須と考えていますが、GoAnywhereのオプションに『高速ファイル転送』という機能があるとのことなので、近いうちにテストするつもりです」(永井氏)

図表3

SecureMail導入後にコロナが流行在宅勤務へスムーズに切り替え

 GoAnywhereに関連して、ファミリー製品 の「GoAnywhere SecureMail(以 下、SecureMail)」の利用も開始した。同社では社内・社外との一般的なメールのやり取りはNotesメールを使用しているが、添付するファイルの容量が大きなものについては、ファイルを細かく分割して送信するなど手間がかかっていた。また、送受信のセキュリティや管理機能にもさまざまなニーズがあったので、2018年9月にSecureMailを導入した。
「複数のツール/サービスを検討しましたが、ユーザー管理や配信管理、ログ管理、セキュリティ設定など機能が豊富な点と、価格が圧倒的に安いことを評価して採用を決めました。コロナ下のテレワークでは、多くの企業で業務データの安全な送受信が課題になりましたが、当社はSecureMailを導入していたおかげで在宅勤務への切り替えがスムーズに行えました」(大塚氏)
 GoAnywhereの使い方にもうかがえるが、同社のシステム部門はユーザー部門の課題を積極的に察知し、システム化や効率化に率先して取り組んできた。2021年には、アフターコロナのニューノーマルに対応する、GoAnywhereの新しい使い方が考案されているかもしれない。

COMPANY PROFILE

本   社:東京都港区
設   立:1948年
資 本 金:15億5507万760円
売 上 高:単体96億5600万円、連結248億8000万円(2020年3月)
従業員数:単体341人、連結2194人(2020年3月)
事業内容:電線・ケーブルおよびその加工品の製造・販売、電子・電気機器の製造・販売、電気工事・電気通信工事の設計・施工・監理・請負、医療機器・医療機器用部品の製造・販売など

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本記事はi Magazine 2021 Winter号に掲載されたものです。
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