GoAnywhereの採用により 短期間・低コストの移行を実現
ソルパックはこの課題に対し、複数の手法で解決策を提案した。検討の結果、採用されたのがGoAnywhereを使った新たなEDI環境の構築である。
「GoAnywhereの最大の特徴は、プログラムレスの手法により、対応工数を最小化できることです。
流通BMSへの対応はもちろん、パラメータの設定変更のみで、Web-EDIやメールから受発注データを受け取り、基幹システムへ自動で連携する仕組みを実現できる点に着目して、最終的に導入を決めました。
他社からの提案も検討しましたが、ライセンスコストや開発工数などを比較すると、GoAnywhereのほうが圧倒的にパフォーマンスがよいと評価しました」(塚田氏)
無償トライアル期間で性能を確認し、導入が正式決定したのは2018年4月である。最初のプロジェクトは、前述したように、同年6月に予定されていたある取引先での流通BMS対応である。流通BMSの場合は、取引先のフォーマットに対応して個別にプログラムを開発する必要があるので、ソルパックがその開発を担当した。
開発期間は約2カ月。流通BMSが採用している通信プロトコルの1つであるJX手順で対応した。流通BMS用サーバーでの送受信、およびそのスケジュールもすべてGoAnywhereで実行・管理している。
さらにその後、同年11月までの5カ月間で、JCA手順からWeb-EDIやメール受発注へ移行する3社の取引先に対応した。ここではWeb-EDIとメール用に、IBM i側で共通化させたデータ受け取り用プログラムをソルパックが作成している。この共通プログラムにより、Web-EDIやメールについては、GoAnywhereの設定変更だけで、新たにプログラムを作成することなく新規先へ対応できる。
プログラム作成が不要なため、新規対応時も短時間でのサービスインが可能。実際、JCA手順から移行した3件目の取引先に対しては、わずか1週間でサービスインを実現したという。
またメールの場合は共通プログラムの仕組みに加え、あらかじめスケジュール設定し、フォルダに入った受注データをIBM iの基幹システムに送信して、受注ファイルを自動更新する。JCA時代の自動化処理をほぼそのまま実現しているわけだ。
現在も、JCA手順でEDIを実施している取引先は多い。
「今後、取引先が流通BMSあるいはWeb-EDIやメールへ移行する場合も、今回の方法で対応することを考えています。とくにWeb-EDIやメールへの移行時は共通プログラムを利用できるので、低コストかつ短期間でのサービスインが期待できます」(塚田氏)
ISDNサービス終了に対処するために、そして流通BMSという新たなスタンダードに向けて、流通EDIは進化が求められている。同グループはその対応をすでに完了させたようだ。